PROFILE

蓑輪紀人(みのわのりひと)
作曲家 株式会社ディ・フェアリー代表
玉川大学文学部芸術学科音楽専攻(作曲)卒

システム音楽、環境音、CMなどのプロジェクトに参加。また演奏家 舞踏家に数々の楽曲を提供。現代彫刻家、映像作家との実験的な コラボレーション作品も発表する。以後、サウンドインスタレーションと いう形でミニマル音楽の可能性を示唆し、独自の作曲スタイルを確立 している。2009年「アクアフレーム」は60のスピーカーを使用した大 きなスケールで" 観賞者が独自の音世界を創出できる空間作り" を 試みた。2012年「妖精エコー」では、周波数の分解、音の角度、また 黄金比を音の推移に取り入れ更に流動的で複雑な揺らぎを追求した。
主要作品

サウンドインスタレーション作品:
「aqua frame」60ch (2009代官山ヒルサイドプラザホール)
「妖精エコー」24ch (2012金沢21世紀美術館シアター21)
「薄月夜」13ch (2018金沢21世紀美術館シアター21)
「ニンフス」12ch (2018金沢21世紀美術館交流ゾーン)
「graveyard of zal」12ch (2022金沢ナイトミュージアムプログラム)
「人形塚」12ch (2023代官山ヒルサイドプラザホール)
舞台作品、会場音楽:
「Absence of the tea master」 (2013西田幾多郎記念館)
「Transition from arrival to departure」 (2013デュッセルドルフ)
「Tea ceremony in Amsterdam」 (2013アムステルダム)
その他:
「ヴァーチャル図書館」音制作(1996通信放送機構)
「防衛庁緊急警告音、システム環境音」制作(1998NEC)
「いしかわの音蔵」音制作(2003石川新情報書府事業)

音制作のコンセプト

私が生まれ育った金沢には「兼六園」があります。 日本庭園の基本である“築山林泉式”という様式で、山に見立てた築山を作り 滝水を落とし池や流れを写し出す、いわば自然風景を凝縮したものです。 また兼六園は、歩行しながら眺めを楽しむことの出来る“回遊式”庭園です。

私は無自覚のまま、インスタレーション作品に、その回遊式庭園を表現してい たのかもしれません。 いにしえより日本人はひとつの空間に大自然を凝縮した世界観を見出し、四季 を愛で、風や雨音に耳をすませ素朴な喜びを感じ取っていました。 雨の庭では、木の位置、高さ、葉の形、大きさ、配置など立体音響を形成し、交 響曲に引けを取らない雨音の音楽を体験できます。

私の作品は風景を音楽にしたものではありません。 表現する事が難しい日本人の感性を音楽で伝える事はできないのか。 押しつけるような音楽ではなく、意識に秘められた「音」をさがし求めています。
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